若いうちに買うのは有利?
「結婚しないかもしれないから、マンション買おうかなぁ」「年を取ったら一人暮らしだと部屋が借りにくくなるから買った方がいいかな」シングルで30歳を過ぎると一度はこういう思いが頭をよぎったことがあるはず。
最近はシングル向けに30㎡~40㎡の「コンパクトマンション」というワンルームよりちょっと広めの物件が登場していて、ローンを組めば買えない金額ではないことも悩みを深める要因なのでしょう。
でも、私は「若いうちに買うことのプラス要素だけじゃなくリスクも考えて」とアドバイスしています。プラス要素から見ていきましょう。まず、ローンを払い終えたら住居費が格段と減ることですね。
ただ、ローン以外の住居費である月々の管理費や修繕積立金、固定資産税の支払いは続くことは覚えておいてください。また、分譲マンションは賃貸に比べて部屋の仕様グレードが高いことも購入のメリットといえます。
では、購入のリスクとは?買った後に結婚した場合を考えてみましょう。2人で住むにはコンパクトマンションは手狭ですが、そんな時、皆さんならどうしますか?「もちろん、賃貸に出す」と多くの人が考えます。
しかし、ローンを返済しながら年間収支が黒字になるのは頭金の割合が多く、借入額が少ないケースです。忘れてはいけないのが「ローン以外の住居費」です。ローン返済額が月9万5,000円です。それ以外の住居費を年25万円だとすると支出は年間139万円です。1ヵ月あたり約11万6,000円ですが、入居者入れ替わりの際のクリーニング費用や、空き室リスクを考えると月13万円以上の賃料収入が欲しいところです。
でも、30㎡~40㎡のコンパクトマンションで13万円の家賃が取れる物件は限られているでしょう。思い切って売却する選択肢もありますが、売却価格よりローン金額が多いと現金を足さなければ売ることはできません。
リスクの2つ目は住居費が圧迫して貯蓄ベースがダウンすることです。収入減、失業など不測の事態に備えるためのお金やリタイア後の資金作りのためにもコンスタントな貯蓄をしていかなくてはなりません。
ローン以外の住居費も考慮した上で貯蓄が十分にできるかどうかシミュレーションが必要です。「家賃並みのローン返済額」にすると「ローン以外の住居費」の分、ビンボーになるから注意してください。頭金を物件価格の2割払っても手元に最低200万円程度の貯蓄は残しておきましょう。購入後の貯蓄額は、少なくとも年間40万~50万円ができると安心です。
借りすぎが最大のリスク
購入リスクの大半は、住宅ローンの「借りすぎ」です。つまりリスクを減らすには住宅ローンの借入額を少なくすればいいのです。2つの購入リスクもローンが少ないと解消できます。
また、ポイントは「繰り上げ返済せずに60歳で完済できる返済期間にすること」繰り上げ返済しながら貯蓄するのは中々厳しいので購入後は貯蓄に専念できるようにローンを組みましょう。返済期間を短く組むと利息軽減にもなります。「40歳で購入する」プランなら返済期間20年なので繰り上げ返済を頑張らなくてもいいですね。
最後に「年を取ったら部屋が借りにくくなる」という心配はしなくてもいいでしょう。今ですら一人世帯が全体の3割を占める世の中ですからシングルに貸さないと大家さん業は成り立ちません。
部屋の仕様や設備がよい賃貸に住みたいなら分譲賃貸やRETI(不動産投資信託)の賃貸物件を探してみては。今の不満や不安を賃貸のまま解消できる方法があるなら急いで買わなくてもいいですね。